2014年6月26日木曜日

二つのフローシャイム・インペリアル



上から撮ると、少し角度を変えただけで全然違う形になってしまうので、この写真はご参考程度ですが、履いてみると、同サイズ表記にも関わらず黒のほうがボールジョイント部が少し細いのは間違いなくて、もしかしたら黒のほうがわずかに内振りになっているかもしれません。

刻印は、茶靴が黒で、黒靴が青です。
黒靴は1978年かなと思いますが、茶靴はもっと古そうなのですが、この二桁が見当たらず、年代不明となっています。
押し忘れてしまったのか、押していない時代のものだったのか。

ライナーは黒靴のほうが黄味がかって、皺が寄っています・・・
しかし柔らかくて当たりの良い革です。

ベロ裏なのですが、茶靴は余白のようなものがあります。
さらに古い時代のアメリカ靴にはふかふかの綿のようなものが当ててあるものがありますが、その名残なのでしょうか?
黒靴のほうは、余白のようなものが基本的に無く、こちらのほうがベロ裏の当たりは気持ち良いです。


コバを見ると、茶靴のほうが圧倒的に目付けが綺麗です。
また、パーフォレーションの穴が大きい。
Johnston & Murphyも、60年代ごろのものよりも80年代のもののほうが穴が小さいようなので、だんだん小さくなっていったのでしょうか?


こちらでも、穴飾りの大きさの違いや、コバのクオリティの差が、よく分かると思います。
履き口から一つ目のステッチと二つ目のステッチの間隔が、茶靴のほうが大きくなっています。


ライニングの糸の色が、茶靴は白(?)、黒靴は定番の緑となっています。
茶靴で緑糸も頻繁に見ますが、古い時代には白が見られるように思います。

またFlorsheim Imperialの小窓は、それぞれ右足のみにあるのですが、茶靴では外側、黒靴では内側にありました。

品番やサイズの刻印は、茶靴は左右内側に、黒靴は左足内側と右足外側にありました。

また、ライニング縫合部のダブルステッチの間隔が違っています。



つま先側のライニングは綿ではなく、革ですが、黒靴のほうは通気孔が見えます。
ベロ裏は黒靴のほうがふかふかしていて当たりが柔らかいのがお分かりいただけるかと。


これは個人的に注目しているのですが、ストームウェルトが、茶靴のほうは革を折り返しているように見えますが、黒靴のほうは切りっぱなしになっているように見えます。
踵。目付けの綺麗さが圧倒的に茶靴のほうが上ですね。
でも黒靴も良い靴なんですよ。

裏です。茶靴(左)は、踵のゴムを交換してしまい、つま先も補修していただきました。

N.O.S. w/box (旧お気に入りモノ図鑑)」のeuropeanblendさんの分類では「釘穴ありゴムヒール」だった・・・ような気がします。
記録しておけばよかったと少し後悔しています。

黒靴のほうはオリジナルのVクリートだと思いますが、ちょっと気の抜けた釘打ちが良いですね。

ウェルトのステッチが、茶靴のほうが黒になっていて、黒靴はよく見る白です。


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こうして比べてみると、作りに関しては確かにより古いと思われる茶靴(60年代前半ごろでしょうか?)のほうが至る所で丁寧なんですが、黒靴も決して悪くない。

茶と黒ではなめし方が違うので一概に言えませんが、黒のほうがモチモチしっとりしているぐらいで、アッパーは決して負けていません。
そしてタン裏が黒靴はふんわりした影響か、履き心地も勝るとも劣らない。
どちらも分厚いソールにもかかわらず、返りが非常に柔らかい。

また、意外と、実際に履いてみると、コバが手抜きで、飾り穴も小さく控え目な黒靴のほうが、カジュアルに合わせやすい場面もあると思いました。
どこまで狙ってやっているのか分かりませんが・・・。

1970年代80年代は、革靴がスニーカーに押された時代でもありますが、服装全体がカジュアル化した時代でもあり、この黒靴は、そういう時代の変化に対応しつつ、一番大切な部分は守っているようなところがあると思います。

茶靴のソックシートは残念ながらなくなってしまったようで、それならばUnion Madeのスタンプもあるはずかと思いましたが、擦れて消えてしまったのかも知れません。
謎の99だか66だかという文字がくっきりスタンプされています。